採用情報Topレーザエンジニア募集(キャリア採用)Laser Focus World 日本版 2008年6月10日号 掲載情報

リクルート活動の一環で、レーザ業界誌「Laser Focus World Japan」へ社員インタビューを掲載しました。

※「Laser Focus World Japan」誌は、1965年に創刊された米「Laser Focus World」誌の日本版として、
 グローバルな視点に立ったレーザの技術・製品・市場情報を、日本の技術者・研究者に届けるレーザ業界の専門誌です。


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世界一のレーザ加工装置開発への挑戦

イノベーションを生み出す研究開発環境

ディスコ 技術開発部
レーザシステムグループ
森重幸雄氏

ディスコは1937年に砥石メーカーとして創業、現在は半導体、電子部品などの材料となるシリコン(Si)ウエハ、セラミクスなどを精密に切断、研削、研磨する装置や薄型砥石を開発/製造している。特に精密切断装置の世界シェアは70%を誇る。さらに、近年はLow-k 膜付ウエハのダイシングにレーザ技術を導入した。
現在、ディスコのレーザ加工装置は、三つのカテゴリで製品化されている。Si基板のカット前にLSI の多層膜部に溝入れ加工をするレーザグルービング装置、レーザアブレーションでフルカットする装置(図1)、加工対象内部にレーザで改質層を形成した後、チップ分割を行なうステルスダイシング装置。
同社は2002年に最初のレーザ加工装置を発表して以来、市場シェアを伸ばし続け、いまや業界トップクラスである。そのトップクラスの支持を得ている原動力は何か。ディスコの研究開発環境に注目した。

図1) 昨年10 月に発表された新型レーザソー、DFL7260。薄化が進むLow-kウエハの完全切断を1台の装置で実現する。

■基礎実験と周辺技術開発が両輪

ディスコがレーザ技術導入に踏み切った理由として、砥石によるダイシングのみではLow-k 膜付ウエハの切断速度が目標値に達しなかったことが挙げられる。この業界はスループットが重要視される世界。スループットを犠牲にして質をアピールするだけでは装置は売れないのだ。
レーザ加工装置は、ディスコにとって未踏の地だった。世の中に存在しない装置を作ることになるので、基本的な現象の深い理解が必要となる。
こうした観点から、同社は多くの基礎実験を行なっている。今年5月のレーザ加工学会では、その成果の一端を報告した。内容は、「高繰返しパルスレーザにより溝加工時に形成されるキーホール挙動」と「加工中に発生する応力分布」を可視化したというもの。
波長355nm、パルス幅60nsのDPSSパルスYAGレーザを、出力5.2W、繰返し30kHzで使用し、加工速度6.7mm/sで厚さ700µm のホウケイ酸ガラスの溝加工を行う。その加工中の現象を瞬間撮影し、溶融ガラスの流動、気泡形成挙動などを観察した。また、偏光フィルタを追加して、光弾性観察により加工中に発生する応力場の可視化も行なった。
報告によると、偏光フィルタを通して見ると加工中には熱応力分布が生じていることが観察されたが、加工が終わると残留応力がないことが確認された(1)
ディスコが行なうこの種の研究は、「現象を理解した上で、実際の加工に生かすための基礎研究」という明確な位置づけがある。
実験で見ることができる現象は、実験系を組んで観察し理解する。実験が難しいものはシミュレーションを行なう。実験やシミュレーションで得たデータや情報を蓄積し、装置開発にフィードバックする。同社技術開発部レーザシステムグループの森重幸雄氏は、レーザ加工の専門家で、前職ではレーザを使ってフォトマスクのリペアを行なっていた。ディスコがレーザ加工装置を市場投入する頃に入社し、現在、同社で活躍している1人だ。同氏は、「実際に起こる現象を深く理解した上でよい装置を作る。光学系、レーザが変わると全てが変わる。いろいろなデータや情報が蓄積されると、次に新しい材料の加工や新しい加工方法の研究を開始するときにどういうアプローチが考えられるか、その幅が広がる。このように、データや情報をうまく活用できれば“Time-to-Market”につながる。残念ながら、ディスコに入社する前の職場では研究開発費の制約からここまで深く踏み込むことはできなかった」と語る。
レーザ加工に関連する研究開発は、基礎研究以外に、加工に関わる周辺技術開発もある。たとえば、レーザプラズマでの切断時に発生するデブリを処理するためには、保護膜の生成、洗浄冶具の開発、デブリが発生しない切断方法の検討などが必要になる。
森重氏は入社以来、熱解析の研究を継続的に行なっており(図2)、顧客に提出したレポートも100を越えるという。

(1)阿畠潤 他、レーザ加工学会2008

図2) ウエハ表面のビーム中心から離れる方向の最大到達温度特性を解析した例。この加工条件では、ビーム中心から15µmよりも離れると250 ℃以下の温度上昇に抑制できると予測できる。

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