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■開発環境に対する考え方

これらの他にも、レーザ加工装置を作る、あるいは使用する際にボトルネックとなる周辺技術を予め開発しておくことも重要だ。 こうした必要性から、同社はレーザ関連の研究開発を担当する人員の増強を図っており、2008年末には100名に到達する見込み。この分野の研究開発費も累計で約63 億円に達しており、今後も研究開発費の多寡が研究の足かせになることはない。「将来の成長に必要であれば、現在の業績に左右されることなく惜しみなく投資する」というのが、ディスコの研究開発投資に対する考え方だ。 そして、東京都大田区にある本社・R&Dセンターの社屋隣に、2008 年末の竣工を目指して新棟を建設中だ。レーザ研究開発用のスペースも拡充、研究開発環境の更なる充実を図る(図3)。

図3) 東京都大田区大森にある本社・R&Dセンター(左)とその4 階にあるアプリケーションブース(右)。一般的に郊外に置かれることが多い研究開発機能はここに集約され、世界中に存在する顧客、そして従業員にとってもアクセスが容易である。森重氏をはじめ、エンジニアはここでテーマごとに機密性を保ちながら開発を行っている。隣接して建築中の新棟では更にスペースを拡充する。

■貪欲にチャレンジできる環境

レーザシステムグループは、開発チームとアプリケーションイノベーションチームで構成され、基礎開発からユーザの求めに応じたテストカットまで、幅広く担当する。開発チームは、メカニカル、電気、ソフトウエア、光学系など、実際の装置の開発/設計に関連する分野を担当する。
アプリケーションイノベーションチームが担当する「アプリケーション」とは、同社のコアとなる技術だ。それは、顧客からのテストカット依頼を受け、新しい光学系、レーザなどを組合せて最適な加工方法を探り、最終的に、顧客の要望どおりの加工が可能な装置として提供すること。つまり、顧客の望む「加工結果」を実現できる、顧客にとっての「世界一のレーザ加工装置」を提供することである。この「アプリケーション」技術が顧客からの信頼を生み、信頼の積み重ねが、後の数十台単位のオーダーにつながるものとして捉えられている。
そして、このアプリケーション開発で得た技術や経験は、関連する装置の開発などに生かせる要素技術として蓄積される。単発で終わる開発ではないところに特徴がある。
実際に新たな装置を開発する段では、開発チームからコアとなる電気、メカニカル、ソフトウエアなど各分野のスペシャリストを選び、アプリケーション部隊を加えてチームを編成する。
レーザシステムグループは、相互交流しながら仕事を進めている。垣根を低くし、議論を深めながら、新しいものを作っていくのが同社の組織の特徴だ。森重氏によると、専門性に応じて組織は構成されているが、プロジェクトチームや研究テーマ毎の編成を行うことも多々ある。同社におけるチームタスク選定や計画作りは「ボトムアップ的に立ち上がることも多い」と同氏は言う。
「何が問題なのか、何がボトルネックになるのか、未解明の部分が何であるのかについて、共通認識があり、ミーティングでボトムアップ的に提案が出れば、議論して研究テーマになる。」
つまり、上から指示が下りてくるのではなく、各自が得意分野を持ちながらも、その上でいろいろなことに挑戦できる環境だということになる。

■ディスコのミッション

半導体業界の中でビジネスを展開するディスコには「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術によって遠い科学を身近な快適につなぐ」という企業ミッションがある。これは「原点を社会のニーズにとる」と言い直すことができる。そのニーズに応える技術を提供し続けることが、ミッションの実現に近づくことになるのだ。現在、レーザ加工装置の研究開発に注力しているのも、顧客のニーズに応えることで社会に貢献する、ということを第1に置いているからである。
ディスコがこのミッションの実現のために大切にしているもの。それは人だ。ディスコが求めるエンジニアとは、ミッションを共有し、自分のアイデアを自分で形にしていきたいと考える人、単なる研究者ではなく、ミッション実現に向かって開発を進めることに喜びを感じる人。こうした人が活躍できる、イノベーションを生み出す環境を整備していることが、現在のレーザ加工装置市場におけるディスコの成功につながっている。


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